一般財団法人 九州電気保安協会

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暮らし

2018.10.30

九州の伝統文化「焼き物」の世界

日本の伝統文化を今に伝える焼き物。九州には伝統的工芸品や重要無形文化財として名高い焼き物の産地がたくさんあります。今回は、九州が誇る主な焼き物の産地と魅力を紹介します。

■陶磁器の見分け方
焼き物には、陶器と磁器があります。産地によって、陶器だけ・磁器だけを生産していたり、両方を作っていたりします。まずは見分けるポイントを見てみましょう。

<陶器>
原材料:陶土(粘土)に珪石や長石を混ぜたもの
色:カラフル(80種類以上)
厚み:厚手
軽く叩いた音:低くにごったような音
吸水性:あり
透光性:なし

<磁器>
原材料:粉砕した陶石(石英・長石など)に粘土を混ぜたもの
色:純白色など白色系
厚み:薄手
軽く叩いた音:金属音のように澄んだ高い音
吸水性:なし
透光性:あり(光にかざすと半透明に)

■各県を代表する焼き物

【福岡】
<小石原焼(こいしわらやき)>
伝統的工芸品/東峰村
江戸時代に黒田藩主が招いた伊万里の陶工によって磁器が伝わり、元々あった高取焼と融合されて中野焼が生まれました。その後、陶器も焼かれるようになり、この地区で作られる陶磁器を小石原焼と呼ぶようになったそうです。飛び鉋(かんな)、刷毛目、櫛目などの模様に特徴があり、主に大皿などの食器や壺、花瓶などが作られています。

【佐賀】
<伊万里・有田焼>
伝統的工芸品/伊万里市有田町など
有田町は日本初の磁器の産地です。一般に有田地区で作られる磁器を「有田焼」、伊万里地区で作られる磁器を「伊万里焼」といいます。江戸時代には、有田焼をはじめ長崎県の三川内焼・波佐見焼など伊万里港から輸出される焼き物はすべて「伊万里焼」と呼ばれていました。今も肥前磁器全般を呼ぶときは「伊万里焼」の名称が使われています。
初期伊万里、古九谷様式、柿右衛門様式、金襴手様式、鍋島様式など、様々な表現方法を用いて作られた伊万里・有田焼は、海外でも高く評価されています。

<唐津焼>
伝統的工芸品/唐津市、武雄市
「唐津焼」は佐賀県から長崎県に点在する窯で作られる陶器。「東の瀬戸物、西の唐津物」と評される唐津焼は、温かみのある作風に特徴があります。なかでも茶道が花開く桃山時代に注目されたのが抹茶茶碗。「一楽・二萩・三唐津」といわれるように、茶人から愛される名碗がたくさん生まれています。

【長崎】
<三川内焼(みかわちやき)・平戸焼>
伝統的工芸品/佐世保市
三川内焼きは佐世保市で生産される陶磁器で、平戸焼ともいわれます。江戸時代には、伊万里港から伊万里焼として海外に輸出されていました。代表的な絵柄には、白磁に藍色で絵付けした「唐子絵」(唐=中国の子どもたちの絵)などがあります。

<波佐見焼>
伝統的工芸品/東彼杵郡波佐見町地区
大衆向けに大量生産され、日常使いをされてきた波佐見焼。江戸時代に生産された「くらわんか碗」は、高価なイメージの磁器が庶民に親しまれるきっかけとなりました。またオランダ人の要望を受けて作った徳利型の「コンプラ瓶」は、酒や醤油を輸出するための容器として活躍しました。

【大分】
<小鹿田焼(おんたやき)>
重要無形文化財/日田市小鹿田地区
小鹿田焼は、飛び鉋などでつけられた模様が特徴の陶器。伝統技法は直系の長子にのみ代々引き継がれてきたことから、重要無形文化財に指定されています。また小鹿田焼が生産される皿山などの地区には昔ながらの風景が残っており、「日本の音風景100選」「重要文化的景観」に選出されています。

【熊本】
<小代焼・小岱焼(しょうだいやき)>
伝統的工芸品/玉名郡、荒尾市、熊本市、宇城市など
小代焼は、高温で焼き上げるため丈夫で、日常使いに適した陶器です。絵付けなどはせず、釉薬(ゆうやく)の調合の割合や焼成温度を調整して、色合いを青や黄、白に変化させる技法が使われています。力強い作風が特徴です。

<天草陶磁器>
伝統的工芸品/天草地方
内田皿山、高浜、水の平、丸尾の主に4つの産地で生産される陶器や磁器を天草陶磁器といいます。天草では質の高い陶石や陶土が採れるため、古くから陶磁器の生産が盛んな地域でした。天草陶磁器は“天下無双の上品”と評されるほか、瀬戸物の発展に貢献をした陶工がこの地で修業をしていたことから「瀬戸焼発祥の地」ともいわれています。また天草は、世界有数の優れた陶石・陶土の産地として知られ、日本国内をはじめ海外でも様々な焼き物の主原料として使われています。

【宮崎】
<小松原焼>
伝統的工芸品/都城市小松原
鹿児島の苗代川焼(薩摩焼)の流れをくむ陶磁器。花器や日用品など様々なものが作られています。表面に割れを生じさせる「鮫肌」や「蛇蠍(だかつ)」、「鈍甲肌」などの技法に特徴があり、重厚で力強い印象です。

【鹿児島】
<薩摩焼>
伝統的工芸品/姶良市、日置市、鹿児島市など
薩摩焼は鹿児島県内で作られる陶磁器の総称。産地によって龍門司系、苗代川系、竪野系などの系統に分かれます。特に苗代川では、藩主御用窯として「白もん(白薩摩)」と呼ばれる華美で豪華な陶器を作っていました。それに対して「黒もん(黒薩摩)」と呼ばれる大衆向けの陶器もあり、焼酎を飲むときに使う土瓶「黒ぢょか」はこれにあたります。

日常を彩る陶器や磁器は、食欲の秋にも芸術の秋にもピッタリ。伝統的焼き物に注目して、九州の文化的な魅力を再発見してみてはいかがでしょう。

※写真はイメージです。